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Posted by ミリタリーブログ at

2023年01月09日

MultiTasker Tools Twist




こんにちは

今回はMultiTaskerのTwistマルチツールを紹介します


マルチツールといえばペンチ型や折りたたみ型を連想しますが、この商品はARメンテナンスに特化したマーカーサイズのペン型ツールです

本体と1/2インチビットセット



ARのメンテナンス、調整に特化した内容



Aimpoint microのゼロイン調整工具




キャップ先端に装着できるピック、パンチ、カーボン清掃具


1/2インチソケットとA2フロントサイト調整具

磁石が仕込んであるので逆さにしても落ちません
市販の物も使えます


クリップはマイナスドライバーとしても使えるくらい強度があり、クリップ力もめちゃめちゃ高いです
裏面にはChinaの刻印があり少し錆びてました
この個体の保管状態がわからないので最初からこうだったのかはわかりません


ビットは1つしか収納できないので、必要な物は別に運ばないといけない点は微妙かもしれません
ただ全部合わせても軽量かつ小さく収まるのでそう悪くはないと思います
これだけの機能が詰まっているというのは楽しいです



AimpointツールはHolosunには使えませんでした
形状的にいけるかと思ったんですが、ツールの方が大きくて入らず
もっとも最近はHolosunを使っていないので、ここは個人的にはどうでもいい部分です


クリップでのEotechゼロインは全く問題なく、きちんと回せるだけの力をかけることができます


A2フロントサイトツールは少し回しづらいもののDD固定サイトにも使用可能



全体的に良いツールなのですが、Aimpoint用のトゲ2つが鋭いのでそのままポケットやバッグに放り込むのは憚られます
またビットも当然先が尖っていて危ないので収納を見つけることにしました


本体はStreamlightを買ったときについてきたちゃっちいポーチ
ビットはカモラップに包んでベルトループで締めました


「あとで使うからとっておこう」は大体腐るんですが、今回は見事役割が見つかって良かったです
これでバッグに穴が開く心配はなくなりました


マルチツールとは言っても刃物やペンチがついているわけではありませんが、それゆえに目的を絞って使うにはとても良い製品だと感じました
法的な問題はもちろんのこと、外でARをいじる機会がないので工具を持ち歩いて実践レビューはできませんが、単純に持っていて楽しいです

MultiTaskerは他にもユニークな銃器用工具をリリースしているので、機会があれば他の製品も手に入れて使ってみたいと思います

ご覧いただきありがとうございました
  
タグ :AR15MultiTasker

Posted by キャベツさん at 22:40Comments(0)実銃ネタ

2022年05月13日

ピストル安定化ブレース闘争 ~ATFの規制案と顛末~



今回は、米国銃社会を席捲している"ピストル安定化ブレース(スタビライザー)"について海外ニュースの翻訳や私見を交えて紹介しようと思います


(ここではAR15をベースに解説します。なので用語がARを基にしたものになることをご容赦ください)


・ピストルブレースとは何か
昨今カスタムARが流行しているのもあり、国内でも見かける機会が多くなりました



SBtactical公式ページより引用、同社製品SBA4

どこからどう見てもストックですが、これは正確にはストックではありません


同上
ストック部下部が左右に展開、上腕に固定する
このように、腕に挟みこみベルトを締め、片手に括り付けるように使用します

このようなパーツは、負傷した退役軍人や障碍者でもライフルを撃てるようにと開発されたものです


しかし、このパーツは「ライフルやSMGにつけると"ピストル"扱いになる」という魔力を秘めてしまったのです




・ピストルと、短銃身ライフル(SBR)と
近年のアメリカカスタムAR業界では、ピストルブレースを見かける機会は非常に多く、またその法的な立ち位置がたびたび議論されています

こちらの画像をご覧ください

https://youtu.be/Ife5dkS-3lc より引用
さて、違いがわかりますでしょうか


非常に簡単に説明すると、アメリカNFA(連邦火器法)において、銃身16インチ未満かつ全長26インチ未満のライフルは短銃身ライフル(SBR)とみなされ、合法に所持するためにはATF(アルコールタバコ火器および爆発物取締り局)へ200ドルと身分証明等の各種書類を提出する必要があります
この手続きには数か月から数十か月かかるといわれています

この煩雑な手続きと200ドル、そして時間を省略する方法が上述のピストルブレースです


一般的にストックと言われているパーツをピストルブレースと入れ替えるとそのSBRはピストルとして扱われると思われていますが、実際には細かい制約が存在します

前提として、米国では実銃はロワーが本体とされ、購入時の手続きでライフル用途なのかピストル用途なのかを記載する必要があります
(現在、ロワーが銃器本体ではなく、アッパーをも含めるといった規制案も出てきているが)
ライフル登録のロワーを使用してARピストルを構成することはできません
最低限ピストル登録のARロワーを使用する必要があります
更にLOP(肩付け位置からトリガーまでの距離)も関わってくるため、付けてはいピストルとはなりません(これもATFの測定方法が適当なため、いかようにも解釈可能)

また制限として上述のストック取り付け不可に加え、"90度の"フォアグリップの使用禁止があります
バーティカルグリップを装着すると、ピストルの定義である「片手で発射する」という部分に抵触し、両手で保持する銃=ライフルとみなされてしまうためです

それらの代替としてハンドストップ/フィンガーストップ等が使用可能です




・200ドルが惜しいのか?
200ドルと身元を証明する書類を提出、あとは待てばちゃんとしたストックのついた短いライフルを持てるわけです
これだけ見ると、彼らブレース愛好家は200ドルをケチりたいがためにグレーを突く無法者という印象を受けてしまうかもしれませんが、これには手続きの煩雑さと法解釈を巡る非常に根深い問題があります


1934年のNFAは立案当初こそ拳銃の規制も盛り込まれていたものの、最終的には機関銃やグレネードランチャー等"破壊兵器"の規制をし、犯罪を抑制するための法律になりました
そこにSBRも含まれています
つまり、NFAにピストルの規制についての記述はありません
これは当たり前のことですが、ARピストルがピストルである限り、NFAに記述のあるSBRには当てはまりません

しかし銃器愛好家たちは、このNFAは修正2条で保障されている武装権を侵害するものだと認識し、それによって機関銃はともかくSBRが規制されるのはおかしいと考えました

最初のブレースであるSIG SB15や、SB Tactical、KAK等のピストルブレース市場の活性化によってARピストルビルドが過熱し、市場を席捲し始めた頃、それを本来の腕に巻き付ける用途ではなく、"ストックのように肩付けして射撃する"スタイルが流行します

これは上述の傷病人向け補助具という名目を大きく逸れている、と捉えられるものです
あくまでストックではないにしても、そのようにして従来のライフルと同じく狙いをつけ反動を制御できる、しかも短銃身なので持ち運びも容易(私はそうは思わないが)
これだけの要件がそろっていてATFが見逃すはずがありませんでした





・脱法ストックは犯罪の温床?
米国は、憲法に保障された銃社会であるとアメリカ人、特に銃器愛好家は強く思っています
銃は人類が生み出した究極の小型殺傷兵器であることは言うまでもありません
指先一つで、相手が格闘家であろうと動物であろうと一瞬で葬り去ることができる
本来国家や国民を守るための物でしたが、現在では一般企業が開発・販売し、州法が許す範囲での所有、持ち運びが許可されています

言うまでもなく犯罪にも多く用いられ、米国で毎年銃を用いた犯罪によって亡くなる方は2019年に2万人を数えました

また日本でもニュースになるような銃乱射事件等もたびたび発生し、その度に銃を規制するべきという運動が活発になります
また、一部事件ではピストルブレースつきARピストルが用いられ、その犯人はライフルのように構えていたとの証言もあります

それを好機と見た政府とATFは、脅威たる脱法小型自動火器の規制に乗り出します


2018年頃から、ちょこちょことピストルブレースつきARピストル(ATFが言うには無申告の違法火器)が押収され始めましたが、その計測の曖昧さや一貫性のなさにより、法廷で無罪が言い渡される等、ATFは執行者の立場にありながら、自ら行使するその曖昧な法に首を絞められることになります





・開戦
2020年、ドナルド・トランプ政権下のATFはピストルブレースの解釈に関するパブリックコメントを募集するも、7万件の批判コメントが寄せられ、同案は撤回されました

内容はまとめると
〇ブレースかストックかを区別する要件には、企業の設計思想が影響する
〇明らかに片手での射撃を補助する目的でない設計かつストックとしての機能を持つと判断したパーツを装着している銃はNFA火器として扱う場合がある
それらを"ケースバイケースで"判断する

という極めて曖昧かつ恣意的な判断が可能なものでした

これでは到底既存ブレースユーザーは納得できません

結果が7万の反対意見でした




・リベンジ
1年後の2021年、政権は移り変わりバイデン政権に
政権(とATF)は、前回の失敗への逆襲として新たな案を携えて銃器愛好家に立ち向かいます


それが「ATF worksheet 4999」です

2枚組の書類です
これが過去最大級の反響を呼ぶことになります


質問は2つの段階に分かれており、一段階目は銃器の重量や全長といった、いたって普通のものでした
ここで4点未満の場合は二段階目に進めます

が、二段階目の質問はあまりに誘導的で、意地でもARピストルを滅ぼすという強い意志を感じるものでした


ただ書類を見るだけではわかりづらいので、実例と共に紹介します
二段階目の質問群には、銃器本体の情報ではなく装着されたアクセサリについて言及されています

https://gatdaily.com/atf-4999-high-score-challenge/より
引用元ブログ著者のイカしたXCR-Lのブレースはファクトリー、つまり純正です
つまり設計段階から、腕に巻く用途であったことがわかります
これはATFの従来の解釈によれば、開発設計段階でブレースであるのならば、それはストックではないという論理でした

しかし今まで規制の対象外であると(事実上)明言してきた純正パーツにも機能や意匠による採点を実施するという究極の自己矛盾を起こしています

極めつけは肩付けパーツ周辺だけでなく、照準器など付属品にまでも口を出そうとしているということです

アイアンサイトや倍率サイトを装着していたら加算...など、NFAにおけるSBRの定義には含まれていない項目も存在します


ATFが主張してきたのは、「肩付けを目的としたブレースはストックである」ので「ARピストルは全てNFAにおけるSBRに該当する」から「申請して金払え」という論理構造でした

それがここにきて、既存のブレースへの解釈も捻じ曲げつつ、無理やりSBR認定するためにアタッチメントにまで口を出そうとしているのです


これに対して前回の約3倍の21万コメントが寄せられました
殆どがこれに対する批判とみてよいでしょう
ある程度私も読みましたが、肯定するものは一つも見受けられませんでした


多くの方が揃って口にしていたのは、ATFが米国議会も通さずに、連邦法であるNFAの解釈を恣意的に曲げる権利はない、ということです

またこれは私の意見でもあるのですが、ブレースを規制したところで銃犯罪は減少しない、という言及もありました





・ブレースの未来
ATFの仕事が遅すぎることによって人々がブレースに飛びつき始まった一連の流れ
警察関係者の話によると、ATFの書類審査等をする部門の慢性的な人手不足によって1年待ち当たり前のような状況になっていたとのこと
2021年末に入り、銃器製造の申請書は待ち時間が1年から1か月に大幅短縮という成果はあったものの、情報は少ないのですが恐らくSBR申請に関しては未だに停滞していると思われます
RedditではSBR申請が3か月で通ったという書き込みもありましたが、未だ時間がかかっている例も多くあります

規制よりも、スムーズにSBRへ移行できる体制を確保しなかったATFの完全な怠慢であり、その見事な空回りっぷりには開いた口が塞がりません
登録必須になりますよ、でも通るまで数か月から1年待ってくださいねでは話にならないのですが、当局は誰も気にしなかったのでしょうか
SBR申請には詳細な身元情報も含まれるため、スムーズな申請が可能であったのなら、彼らの言う犯罪抑止に繋がる可能性も無くはなかったと思います


無許可で半自動小銃を持てる状況は今に始まったことではなく、ATFは民意や業界に忖度し意見が二転三転、犯罪を抑止するためにブレースを規制するはずが、ブレース以外の付属品や総重量といった無関係な項目を追加してまでSBR認定にこじつける

犯罪者からARピストルを奪うとどうなるか?彼らは拳銃や16インチ以上のライフルを使うだけです

そも殺傷力で言うなら後述の通り長銃身ライフルの方が上であるし、隠密性で言うなら拳銃を規制すべきであるのは自明です





・そもそも短銃身ライフルは脅威なの?
一般的には、強力な弾薬を使用し貫通力も威力も高いライフルを携行しやすく改造すれば、それは脅威だろうと考える
しかし、小型化には当然デメリットを伴うことを忘れてはいけない

銃身が短くなると、当然初速が低下し飛距離と弾道の悪化、不燃焼ガスの大量放出、より大きな銃声とマズルフラッシュ、低重量による反動増加等数えればきりがない

それでも、生身の人間あるいはアーマーを着ている警官にとっても、銃弾を食らうというのは非常に致命的なシチュエーションであって、政府関係者も「深刻な公共に対する脅威」と発言する等、ARピストルを含めた短銃身ライフルへの風当たりは強くなりつつある


しかし、いくら短銃身といえども、隠し持って歩くことは容易ではない
ATFは何をもって隠密性の高い銃器とみなしているのかはっきりさせるべきであり、その攻撃性についても言及するのなら可搬性ではなく火力そのものに影響する代替案を捻出すべきである


また、身元情報を当局に提出する必要があるSBRに対し、ほぼ同じ機能を確保しつつ何の許可も必要がないARピストルは、確かに犯罪発生時の捜査が難航するといった影響が考えられる
だが犯罪を犯すと決心した犯人を止めるには、SBR登録ではいささか抑止力不足であるし、当局が情報を持っているとはいえ、その人物が今どこで何をしているかを把握することは不可能である



2022年5月、ATFは未だにブレースを規制できずにいる



・まとめ
非常に長くなってしまったし、ところどころ不正確なものが多々あると思うので正確な文章とはとても言いがたいのですが、AR15にブレースつければ即ピストルではないですよということと、安易に禁止できない理由は論理武装の不足とATFの権限や民意と政治、修正2条も関わってきているんですよということが伝われば幸いです

仮にブレースを規制できたとしても、憲法によって保障されている武装する権利によって銃を無くすことは不可能に近いので、矛先が別の方に向くだけです
反規制派の人々は、銃規制が成功したという成功例を与えたくない、一つ成功したらまた別のところが規制される連鎖を止めたいと考えているのです
これは日本国内における規制等の問題にも共通している部分で、一部を許せば「じゃあこっちも」となるのは明らかなのです

ブレースは、修正2条を侵害しているNFAと、それを行使するATFに対する反抗であると捉えることができる
これは非常に政治的で、銃文化と武装権がない日本人にはわかりにくい感情だなぁと感じました


ご覧いただきありがとうございました






出典
・Negative Reactions Dominate Pistol-Brace Ban Proposal as Comment Period Ends
https://thereload.com/negative-reactions-dominate-pistol-brace-ban-proposal-as-comment-period-ends/
※2021年ATF4099案に20万以上の反対意見が寄せられたという記事

・Objective Factors for Classifying Weapons with “Stabilizing Braces”
https://www.federalregister.gov/documents/2020/12/18/2020-27857/objective-factors-for-classifying-weapons-with-stabilizing-braces
※2020年、トランプ政権下でのブレースBAN案

・Factoring Criteria for Firearms With Attached “Stabilizing Braces”
https://www.federalregister.gov/documents/2021/06/10/2021-12176/factoring-criteria-for-firearms-with-attached-stabilizing-braces
※2021年、バイデン政権下でのブレースBAN案(ATF4099)

・Biden’s Pistol Brace Rule Would Put Pressure on an Already Strained ATF Division
https://www.thetrace.org/2021/07/atf-national-firearms-act-pistol-brace-application-delay/
※ブレース規制派による記事

・ATF Inconsistencies Does Not Pass Muster In Court – This Is Not A Stock
https://www.thefirearmblog.com/blog/2018/11/06/atf-inconsistencies-does-not-pass-muster-in-court-this-is-not-a-stock/
※ATFの非常に曖昧な法解釈、杜撰な測定が見られる
  
Posted by キャベツさん at 21:08Comments(0)実銃ネタ

2022年01月28日

AR15 フォワードアシスト不要論 日本語訳

この記事はRange365.comのTo Forward Assist or Not To Forward Assistの日本語訳です。

この翻訳記事にブログ主の意見は含まれていません。

問題があれば削除いたします




一部意訳、抜粋



To Forward Assist or Not To Forward Assist


AR(Armalite-Rifle)のチャージングハンドルは一方向にしか機能せず、それを引き、手を離すとバッファースプリングがBCG(ボルトキャリアグループ)を前方に押し、チャンバーにラウンドを送り込みます。
またボルトキャッチをかけているときは、マガジンを挿入しハンドルをスリングショットのように引き放します。


(Brownells製のAR15コピー)

(初期のAR-10/15はキャリングハンドル内にハンドルがあったが、軍はハンドルが熱を持つことを理由にハンドル位置の変更を要求した。
しかしAKのようなサイドチャージライフル等よりも問題になるとは思えないので、この真相を誰かご存じだろうか。)


BCGが前方にある場合、つまりブリーチが閉鎖されている場合、チャージングハンドルとBCGは連動していないため後ろに引くことしかできません。

そのため、兵士が直接ボルトを前進させられるように、M1ガーランド、M1カービンそしてM14ライフルにはボルト連動のハンドルがついていました。
それと同じことをできるように、BCGに溝を、アッパーレシーバー右側面にボタンを追加しました。
押すと先端がBCGの溝に噛み合い、ブリーチが閉鎖できるまで前進させることができます。
これが「フォワードアシスト(FA)」です。



これが何故必要なのか?



弾薬がチャンバーに完全に装填されないとき、理由はいくつかあります。仕様外または弾薬の欠陥、チャンバーの損傷、または異物の混入、マガジン不良等です。

ARを開発したユージン・ストーナーは、フォワードアシストは不要であると言い、初期型AR15をテストしたアメリカ空軍も同様の結論を出しました。
早期にベトナムへ渡った初期型AR15を使用した者たちも、BCGの前進不良を経験しませんでした。



では誰が?



空軍は最初にAR15を採用した機関でした。陸軍がAR10を蹴りM14を採用したあと、空軍は老朽化したM2カービンの後継として8万挺のAR15の契約を考えていましたが、後述の理由で却下されました。

最終的に、1960年代初頭、陸軍はM14がベトナムや現代戦に適していないことを把握しましたが、陸軍部隊に渡すライフルをどうするか追い詰められました。

ベトナムの状況が急速に悪化する中、8万挺のAR15をM16として採用することが決定されました。1965年までに、軍は少なくとも30万挺を注文していました。しかし、陸軍はいくつかの仕様変更を求めました。
陸軍の要求で最も目を引くのは、「手動ボルト閉鎖装置」の追加でした。
これは何らかの理由で装填に失敗した場合、強制的にボルトを閉鎖することを可能にする装置です。

過去に米軍で用いられた銃器は、どれもボルト連動のハンドルがついていたため、M16にも同様の能力を求めたのでした。

ボルトハンドルを装填後に押すという動作はWW2以来米軍では一般的に行われており、M1ガーランドのハンドルが装填後に前進しない場合、手動で押すことがありました。

50年代後半、陸軍はM14が有効であることを望んでいました。彼ら陸軍はM14がAR15よりも優れていると主張し、偏った方法によるテストを行いました。

1963年までに、国防長官に就任したロバート・マクナマラは陸軍に、航空グレードアルミニウムとプラスチックで出来たライフルを採用するように働きかけました。
M14の半分の重量で、7.62mmや30.06よりも小さい弾薬を使用するものです。


ボルトを手動で操作できないのは、陸軍にとってAR15を不採用にするには十分すぎる要素であり、陸軍の許容範囲を示す一例だったのかもしれません。

とにかく、空軍はフォワードアシストが不必要と考えており、FAなしのM16を1万9千挺注文しました。ところが、そのM16の大半は陸軍に回され、フォワードアシストありのXM16E1として製造されました。
このフォワードアシストはM16A1,A2,A3およびその短縮版であるM4カービンまで残りました。

AR15採用の全ての期間において、「フォワードアシストにより命を救われた:という逸話は(筆者は)聞いたことがないため、殆どの人はそれをAR15デザインに不可欠なパーツとみなしています。筆者はそれに同意しません。


これは潜在的なトラブル要素です。
フォワードアシストノブをレシーバーに留めているのは小さなロールピン1本です。多くの軍人はリロードのたびにボタンを押せと教育されているので、いずれピンが折れてボルトキャリアに干渉し、大きな問題を引き起こす可能性があります。

仮にこの機能を使用せず、そして壊れもしない場合、この突起は余分な重量とどこかに引っかかるリスクを提供するだけです。


筆者はフォワードアシストを使用したこともなく、使用する理由もありません。
あるときIWI X95を使用し、それはARと同じくハンドルとボルトが連動していない銃でしたが、数千発を発射する間もフォワードアシストが欲しいと思う機会はありませんでした。


何故人々はフォワードアシストを好むのか?


人々がフォワードアシストに固執する理由の一つは習慣です。
何十年もの間、兵士たちはフォワードアシストを使用するように教育されており、軍のM16マニュアルにもフォワードアシストの使用が記述されていました。

これは多くの人々に根付いており、民間射撃にも影響を与えました。

フォワードアシストの使用を擁護する「キーボード戦士」たちは、狩人が静かに装填するとき、ゆっくりハンドルを離したあとフォワードアシストでチャンバーを閉鎖する、と述べました。

一方、どんなARでもきちんと潤滑されていれば、どんなにゆっくりハンドルを戻してもきちんとロードされます。
また、BCG側面のへこみに親指を添わせて押せば閉鎖させることができます。


筆者はストーナーに同意します。彼はライフルで装填不良が起きた場合、無理に押し込んで発射するのは安全な策ではないと述べました。その場合、ハンドルを引きその弾薬を排出、次弾を装填するのが適切な対処です。

(なお、一部のAR10にはフォワードアシストが存在した。非往復のハンドルを最後まで前方に押すと、BCGの溝に噛み合い前進させることができる。AR15が誕生した頃にはその機能は消えていたが、陸軍が復活させた形だ。)

実際、生死をかけた状況ではチャンバーを強制的に閉鎖し、一発でも発射できる方がいいという意見もあるかもしれません。

しかしそのような状況においてもフォワードアシストを押す暇があるならハンドルを引く方がいいと思われます。

繰り返しになりますが、きちんとチャンバーに弾が入らない状況で、無理に押し込んではいけません。



(中略)



筆者が学んだこと


フォワードアシストは、ARライフルにおいて必要な機能、装置ではありません。
この問題への唯一の解決策は、ARをサイドチャージ式(AKのような)にすることだけです。



AR15が開発されたとき、そこにフォワードアシストはありませんでした。





だそうです。
他にも多くの著名人がこれについて意見を述べているため、そのうちまた記事を書くかもしれません
ご覧いただきありがとうございました  
タグ :AR-15AR-10

Posted by キャベツさん at 19:23Comments(3)実銃ネタ